会報発刊を祝して

       外務省・領事移住部長 賀 陽 治 憲

1号発刊への祝辞(1978年10月1日発行)

 この程,海外子女教育研究協議会の会報が創刊の運びに至りましたことに対し心からお慶び申し上げます。

 我国と世界各国との関係が益々緊密化すると共に海外子女の数も増加の一途を辿っておりますが,これに伴い海外子女教育の重要牲が益々クローズアップされております。外務省は在留邦人保護・福利の増進という見地から,従来より海外子女教育を外務省予算重点事項の一つとして取上げ,在外教育施設の施役及び人的面の援助を中心としてその充実強化に方めて参りました。五十三年度の日本人学校は五十五校,補習授業校は六十九校を数えますが,これらの学校に在籍する子女数は海外子女総数の八十%を超えるに至っております。

 しかしながら,子女教育にかかる在留邦人の負担軽減,学校の管理運営体制の整備,教育の質的向上等問題が山積みしており,今後とも各方面の御理解と御協力を得てこれらの問題の解決に取り組んで参りたいと考えております。

 海外子女教育研究協議会は,派遣教員として在外の学校で教職に携わられた先生方がその貴重な経験をもとに海外子女の教育のあり方について意見を交換し,あわせて各学校における教育に各自の海外での経験を生かす方途を研究する場であると承知致しておりますが,このような研究組織を通じて行われた研究成果は今日極めて貴重なものであり,私共としても充分これに耳を傾けて今後の施策の上に活用して参りたいと思います。

 この度発行されることになりました会報はこの意味で,私共にとっては先生方の御意見を窺い知ることのできる貴重な媒体であると考えますが,同時に,今や全国津々浦々で活躍しておられる元派遣教員の皆様に励みと自信を与えるものと確信してやみません。また,会報が教職に携わる方々をはじめ,広く国民各層に対して海外子女教育に関する問題の所在を明らかにし,関心を呼び起こす契機ともなれは誠に幸いであると考えます。

 最後に,本研究協議会の一層の御発展をお祈り申し上げて御祝いの御挨拶と致します。