「海外での文化交流を通して学んだこと」   前アメリカ合衆国デトロイト在
                                      中川 敦子
 
 3年間海外で生活して,私が一番強く感じたことは,“私たちは日本人なのだ”ということです。これは私だけでなく,海外での生活を経験された多くの方が感じておられることではないかと思います。特にアメリカのように多くの民族が同居している国では,その気持ちは益々強くなっていきます。
 私たちが生活していたミシガン州デトロイトは,世界を代表する自動車メーカーの本拠地です。日本をはじめとする世界各国の自動車関連会社や,そこで働く人々,そしてその豊かな経済に職を求めて集まる人々…と,地域や子どもたちが通う現地の公立学校は,まさにインターナショナルな集まりでした。
 そして,そこでは多くの“インターナショナルの集い”が催され,各国の文化紹介が盛んに行われていました。どの国の人々も,自国の文化に誇りを持ち,自信を持ってそれぞれの国の伝統的な行事や食べ物,民族衣装などを熱く紹介しているのが印象的でした。そんな中,私たち日本人もお琴の演奏会やお茶会,日本料理の試食会,着付けや折り紙の講習会など多くの文化を紹介しました。                          文化交流会にて
 しかし,このような日本文化を紹介しながら私が少しだけ疑問に感じたのは,こういった伝統的な文化が,今の日本の国内でどのような位置に置かれているのだろうかということです。海外や外国人に対しては積極的に紹介されている伝統的な文化が,残念なことに日本国内や日本人の間では影が薄くなっているのではないかと思います。実際,私自身国外へ出て初めて,日本の文化のすばらしさや他の国の人々の日本文化に対する期待に気づいたような気がします。
 以前,アメリカで生活をする多くの民族は,誰もがアメリカ人になりきることを求められていたようです。しかし,今のアメリカは違います。それぞれの国の人々が自国の文化や伝統を守り,そしてそれを互いが認め合い,その中で一つの国を造り上げようとしているのです。私たちも,日本の文化や伝統を正しく理解し,身につけていくことを期待されているのです。
 多くの民族が入り交じる国際社会においては,互いが融合することと共に,個々の根がどこにあるのかをはっきりさせることも大切なのだということを知りました。このような貴重な経験を通して,私は今まで以上に自分の国を大切に思い,日本人であることに誇りをもてたことに感謝しています。これからもこの気持ちを忘れずに,国際理解に努めていきたいと思っています。
 
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