「グアムを知ろう−総合的な学習の時間の取り組み−」

 岡山市立興除中学校  教諭 長尾 光裕
 
  グアム日本人学校では1989年の学校創立以来,現地の 素材を生かした教育の研究が進められてきています。そ の成果は,教師用資料「Hafa Adai(ハファ ダイ)」,小学3 年生社会科資料「Hafa Adai Guam(ハファダイ グアム)」とし  てまとめられ,毎年改訂が加えられています。私が赴任 した1998年からは今までの研究成果を再検討,再編成し 「総合的な学習の時間」の取り組みへと進化させようと  研究を進めていきました。幸いにも,海外の日本人学校 では周りの環境から容易に国際理解の手がかりとなる情報や資料を手に入れることが  できるため,グアム日本人学校でもそれまでの現地理解教育を体系化することで授業  を組み立てることにしました。ここでは,グアム日本人学校の「総合的な学習の時間」 の取り組みの一部を紹介します。
 
 中学部 <グアムタイム>
  中学部は「観光」をテーマとして学習を進めていきました。グアムは主に日本,韓国からの観光客が多く訪れる島です。学習は観光の意味・目的から,効果へと進み,さらにグアムの経済や商品流通などさまざまな方向へと発展していきました。実際にグアムの観光地を訪れ観光客にインタビューしたり,企業を訪問したりしてお話を聞くなど治安がよいという利点も生かして,学習の場が学校外へと広げることができました。3学期には学習のまとめを発表し,新たな課題を設定しました。
 
 小学3・4年生 <ココナッツタイム>
  グアムは北緯13°,東経145°に位置し,亜熱帯気候で島の至る所に椰子の木が見られます。ココナッツはその椰子の木の実で,現地では用途が多く,捨てるところは全くないくらいに利用されています。私も赴任当初はココナッツがとても珍しく,また興味があったので落ちているココナッツをひろって割ってみたり,果肉を食べてみたり,ジュースを飲んでみたり,植えてみたりといろいろ試していました。そのうち子どもたちもこのココナッツに強い興味を持っていることを知り,小学部中学年でココナッツを題材として次に示すような授業を展開しました。
  ・ココナッツの殻を割り,ココナッツミルクを採る。
  ・ココナッツオイルで石鹸づくりに挑戦する。
  ・ココナッツを使った現地の料理をつくる。
  ・ココナッツの殻を使って工作をする。
  ・椰子の木を育てる。
 
  いずれの学習活動においても指導する教師が興味・関心を強く持ち,工夫しながら意欲的に取り組めたことが大きな成果をもたらしたと確信しています。また,これからも日本人学校では,長年蓄積された現地についての情報が整理され,利用できる状態に常に保っていくことを,継続してほしいと願っています。グアム日本人学校の「総合的な学習の時間」の取り組みの展開を期待しつつ帰国の途につきました。