「これから海外で勤務される先生方へ」       

日本メキシコ学院日本コース                                       
教諭 藤枝 茂雄
               
 右の写真は何かおわかりですか。我が家のペットのタランチュラです。先日,学校の敷地内を散歩していたのでつかまえて世話をしています。毒蜘蛛なのですが,飼っているうちに可愛いさを感じるようになるものですから不思議なものです。しかし,そういいながらも2週間近くも餌をやっていないので,早く冷凍コオロギを与えてやらなければと思っています。
 さて,本題に入りましょう。「任期延長のことについて」ということですが,平成13年度派遣の先生方から派遣期間に関する文部科学省の考え方が変更され,「派遣教員の任期は原則2年とし,勤務成績に応じて,1年間の任期延長を2度を限度に行うことができる」という決まりが適用されることになったようです。つまり,派遣教員は2年間で自分なりの教育活動の成果を形として内外に示さなければならなくなったばかりか,毎日の勤務の状況,派遣教員としての心がけを常に評価されることになったわけです。下の枠内の資料をみていただければわかりますが,4年の任期が当たり前になったわけでも,希望すれば4年勤められるようになったのでもなく,むしろ従来の形をベースとして,それに2年で帰国というリスクが加わったと解釈される方が妥当かと思います。
 ところで,これから海外へ赴任される方へのアドバイスになるかどうかわかりませんが,海外勤務を全うするためには,個々の教師の自覚が重要なのはもちろんですが,やはり「よき同僚に恵まれる」ということも大切になってきます。つまり,「朱に染まれば・・・」という要素は海外勤務では多分にあるわけです。私の場合は,20人の同僚の中に倉敷市の河村智正(としまさ)先生という立派な方が同じ中学部の先輩としておられましたので,3年目の年には,河村先生が2年間務められた中学部長の立場を引き継がなければという責任感みたいなものは感じておりました。私が昨年度中学部長を務めるに当たって中学部の先生方に理解してもらおうと心がけていた考え方は以下の通りです。
(1)スペイン語を1年間で全員が話せるようになること(通訳に頼ると最初の一歩が踏み込めず実践力が失われる)
(2)メキシコをテーマにそれぞれの教科で自分なりの研究・実践の成果を形に表すこと(新しいことに積極的に取り組み,教育活動の循環をよくする。)
(3)学校長の考えや方針をすべて前向きに受け止めること(まず何でも一歩を踏み出してから,修正していくという前向きな姿勢が,3年で結果を出さなければならない職場には必要)
(4)現地日系人や企業関係者など,教員社会以外の人々との関係をより多く築くこと(教員からは学べない内容が多く,得るものが大きい)
(5)どの保護者とも丁寧に接し,かつ,適切な距離を保つこと(入試に関する評定をつける中学部の教師は特に気をつけて)
(6)勤務時間中は職務のことに専念すること(レジャーの話題を自粛すること。派遣教員が評価される上での最も基本的な項目と考えてよい)

 以上のことは,当たり前のようでも意外と難しいものです。これらのことをご参考にされながら,決して甘くはない「切磋琢磨の毎日?」の海外派遣をご経験なさってはいかがかと思います。

資料:「平成13年度 在外教育施設派遣教員の手引き」の内容(要約し抜粋)

・「原則として任期の延長は認めません。ただし、当該教育施設において、学校運営の継続性の維持等、真にやむを得ない事由のある場合に限り、当該教育施設からの要請(所属学校長及び学校運営委員会の具申、並びに本人の同意書)を待って検討することとしています」
・「派遣教員の派遣期間は、これまでは原則として3年としてきましたが、現在当面2年間とし、評価に応じて1年間の延長を認めることも検討しています」